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痛風治療薬 副作用

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『フェブリク』を飲んだら副作用で痛風発作が起こる?~尿酸値を急に下げると痛風発作が起こる原因

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回答:急激に尿酸値を下げると、痛風発作を起こすことがある

 薬で急激に尿酸値を下げると、痛風発作を起こすことがあります。そのため、尿酸値はゆっくりと下げていく必要があります。

 こうした痛風発作を防ぐために、『フェブリク(一般名:フェブキソスタット)』などの尿酸値を下げる薬は少ない量から飲み始めて、徐々に薬の量を増やしていく、という使い方をします。

 また、痛風発作が起きている状態で尿酸値を変動させると、発作が悪化する恐れがあります。まずは痛風発作を治めてから、治療を開始する必要があります。

回答の根拠①:痛風発作を起こさないよう『フェブリク』は少ない量から始める

 『フェブリク』は10mgから開始し、2週間後に20mg、6週以降に40mgと、少しずつ薬の量を増やしていく必要があります1)。

 1) フェブリク錠 添付文書

 これは、急激に尿酸値を下げたことによって起こる痛風発作を防ぐためです。痛風のガイドラインでも薬は少量から開始し、徐々に量を増やしていくことが推奨されています2)。
 
 2) 日本痛風・核酸代謝学会 「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第2版 2012追補」

回答の根拠②:痛風発作が起こる原因(結晶離脱説)

 「血液中の尿酸」が6.4mg/dLより高い状態が続くと、尿酸は結晶化して蓄積されていきます。
 つまり、薬物治療を始める段階では、身体には「血液中の尿酸」と「結晶化した尿酸」がある状態と言えます。

 『フェブリク』には尿酸の量を減らす作用があります。そのため薬を飲み始めると、「血液中の尿酸」の量が減っていきます。
 「血液中の尿酸」が減ると、それに伴って「結晶化した尿酸」が再び血液中に溶け出していきます。
血液中の尿酸と、結晶化した尿酸
 このように、「血液中の尿酸」と「結晶化した尿酸」はお互いに増えたり減ったりしながら、バランスがとれた状態になっています(厳密には、6.4mg/dLを越えた尿酸は、血液中と結晶化で平衡状態になっています)。

 このとき、いきなり高用量の薬を使うと「血液中の尿酸量」が急激に減ります。そのため、身体は「結晶化した尿酸」を大量に血液中に溶かして、バランスをとろうとします。

 「結晶化していた尿酸」を急に溶かそうとすると、結晶のまま剥がれ落ちることがあります。
 この剥がれ落ちた尿酸の結晶は、生体にとって異物なので、白血球が集まってきて激しく攻撃することになります。
結晶離脱説~尿酸と痛風発作
 この白血球の働きによって、関節で強い炎症が起こります。これが”痛風発作”です。

痛風の3つの特徴を説明できる「結晶離脱説」

 この「結晶離脱説」では、痛風発作の以下の3つの特徴をうまく説明することができます。

①一時的に尿酸値が上がっただけでは、痛風発作が起きない
②高尿酸血症が数年間持続しないと、痛風発作が起きない
③急激に尿酸値を下げると、痛風発作が起こる
 

薬剤師としてのアドバイス:治療中に痛風発作が起きた場合は、まず主治医と相談を

 『フェブリク』での治療中に痛風発作が起きた場合でも、『フェブリク』による治療は中断しないのが原則です。
 痛み止めのNSAIDsステロイドなどを併用しながら、『フェブリク』による治療も継続するのが基本と、ガイドライン上でも言及されています。

 痛風の薬を飲んだら痛風になった、という本末転倒の現象が起きた場合、薬に対する不信感を抱くことに無理はありませんが、自己判断で薬は中断せず、まずは主治医に今後の対応を相談するようにしてください。

+αの情報:痛風が無ければ治療は不要か?

 尿酸値が高い状態が続くと腎臓に負担もかかります。そのため、たとえ痛風発作を起こしていなくとも尿酸値を下げる必要があります。

 その際、『フェブリク』などの薬を使うだけでなく、食事や運動などの生活習慣を見直すことも重要です。

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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