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妊娠、授乳 吐き気・つわり

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吐き気に『ナウゼリン』を処方してもらっていたが、”つわり”だった。胎児への影響は?~妊娠中は禁忌と書かれた薬の安全性

回答:気付いた時点で相談する、という対応で十分

 『ナウゼリン(一般名:ドンペリドン)』は、妊娠中には避けるのが一般的です。

 しかし、少し使ったからといって、すぐに胎児に影響を与えるような薬ではありません。

 実際、原因のよくわからない吐き気に『ナウゼリン』を処方されていたが、後になって妊娠(つわり)であったことが判明する、といったケースはよくあります。
 こういった場合でも、妊娠が判明した時点で主治医へ連絡し、その時点から薬を変えてもらう、といった対応で十分です。

回答の根拠:「オーストラリア基準」による安全性評価は、7段階で上から3番目

 『ナウゼリン』の添付文書には、妊婦に対して「禁忌」と記載されています1)。

 1) ナウゼリン錠 添付文書

 しかし、この「禁忌」という表現には、絶対に避けなければならない「絶対禁忌」から、基本的には避けた方が良いが色々例外もある「原則禁忌」まで、非常に幅広いものが含まれています。
絶対禁忌と原則禁忌
 そのため、添付文書上の「禁忌」という表記だけを参考に判断することはできません。

『ナウゼリン』の安全性評価~「禁忌」が示す意味の違い

 妊娠中の薬に対する安全性評価基準に、「オーストラリア基準」があります。この基準では、薬の安全性を7段階に分類しています。
 この「オーストラリア基準」では、『ナウゼリン』は上から3番目の【B2】と評価されています。

【B2】・・・『動物を用いた研究はまだ不十分だが、入手し得るデータからは胎児への障害が増加するという証拠は示されていない

 なお、例外なく使わない「絶対禁忌」は7番目の【X】で、以下のような評価をされています。その内容は、『ナウゼリン』の【B2】とは大きく意味が異なります。

【X】・・・『胎児に永久的な障害を引き起こすリスクの高い薬であり、妊娠中あるいは妊娠の可能性がある場合は使用すべきではない(絶対禁忌)

薬剤師としてのアドバイス①:「禁忌」という表現に惑わされない

 通常の「禁忌」の意味を考えれば、『ナウゼリン』が「禁忌」と言われたら、絶対に避けなければならない薬と思うのに無理はありません。

 しかし、薬に関する「禁忌」には先述のようにかなりの幅があり、例外のない「絶対禁忌」から、色々な例外がある「原則禁忌」まで、その意味は大きく異なります。

 『ナウゼリン』も、妊娠中は避けた方が良いことに変わりはありませんが、何がなんでも避けなければならないような薬ではなく、気付いた時点で変更する、といった対応で十分です。
 妊娠が判明するまでの短い期間に『ナウゼリン』を服用していたからといって、今回の妊娠を諦めなければならない、というような心配もありません。

薬剤師としてのアドバイス②:妊娠が判明した時点で、必ず医師・薬剤師に相談する

 妊娠中にも安全に使用できる薬はたくさんあります。

 「すべての薬が胎児に悪影響を与える」と思い込んで、自己判断で薬を中断してしまうと、母体の健康を損ない、かえって胎児により大きな悪影響を与えてしまう可能性があります。

 薬は絶対に自己判断で止めたり、あるいは飲んだりせず、妊娠が判明した時点で必ず医師・薬剤師に相談するようにしてください。

+αの情報:妊娠中は『プリンペラン』、授乳中は『ナウゼリン』

 妊娠中でも使える吐き気止めには『プリンペラン(一般名:メトクロプラミド)』があります。『ナウゼリン』とよく似た薬ですが、吐き気の原因(中枢性・末梢性)によって効き目に違いがあります

 また、授乳中は逆に『プリンペラン』は避け、『ナウゼリン』を使うのが一般的です。

 妊娠中と授乳中では、安全に使用できる薬は全く異なりますので、必ず医師・薬剤師に確認するようにしてください。

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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