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似た薬の違い 抗ウイルス薬

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『バルトレックス』と『ゾビラックス』、同じヘルペス治療薬の違いは?~服用回数と吸収効率

回答:『バルトレックス』は飲む手間が少ない、『ゾビラックス』には注射や塗り薬がある

 『バルトレックス(一般名:バラシクロビル)』と『ゾビラックス(一般名:アシクロビル)』は、どちらもヘルペスなどに使う「抗ウイルス薬」です。

 『バルトレックス』は、『ゾビラックス』の吸収効率を高め、少ない服用回数で済むように改良された薬です。
バルトレックスとゾビラックス3
 一方、消化管からの吸収効率を考えなくても良い注射や塗り薬は『ゾビラックス』にしかありません。

回答の根拠①:『バルトレックス』の改善点~肝臓で代謝される「プロドラッグ」

 『バルトレックス』は、『ゾビラックス』に「L-バリン」をエステル結合させることで、吸収効率を高めた薬です1)。
 『バルトレックス』は吸収された後、肝臓で『ゾビラックス』の形に代謝されて、薬として効果を発揮します1)。そのため薬としての作用は同じです。
バルトレックスとゾビラックス~代謝とプロドラッグ
 1) バルトレックス錠 インタビューフォーム

 『バルトレックス』のように、吸収改善や安定性向上などを目的に、薬として作用する物質の化学構造の一部を修飾しておくものを「プロドラッグ」と呼びます。

 この結果、『バルトレックス』は大人子ども問わず、少ない服用回数で治療できるようになっています1,2)。

※単純疱疹
 
バルトレックス・・・(成人)1日2回、(小児)1日2
 ゾビラックス・・・・(成人)1日5回、(小児)1日4
※帯状疱疹
 バルトレックス・・・(成人)1日3回、(小児)1日3
 ゾビラックス・・・・(成人)1日5回、(小児)1日4
※水痘(水疱瘡)
 バルトレックス・・・(成人)1日3回、   (小児)1日3
 ゾビラックス・・・・(成人)適応なし、(小児)1日4回(※顆粒のみ)
※性器ヘルペスの再発抑制
 バルトレックス・・・(成人)1日1~2回、(小児)1日1~2
 ゾビラックス・・・・(成人)適応なし、   (小児)1日4

 2) ゾビラックス顆粒 添付文書

回答の根拠②:注射や塗り薬では必要ない「吸収効率の改善」

 『バルトレックス』の改良点は、あくまで消化管からの吸収効率の改善です。そのため、そもそも消化管から吸収されることのない「注射」や「塗り薬」では、この工夫は必要ありません

 このことから、「注射」と「塗り薬」の剤型は『バルトレックス』には存在せず、『ゾビラックス』にしかありません。

※剤型の種類
バルトレックス・・・錠剤、顆粒
ゾビラックス・・・・錠剤、顆粒、注射軟膏・クリーム眼軟膏

 そのため、ヘルペスウイルスによる脳炎や髄膜炎には『ゾビラックス』の注射剤3)、角膜炎には『ゾビラックス』の眼軟膏4)、また塗り薬が必要な場合には『ゾビラックス』の軟膏・クリーム5)を、それぞれ使う必要があります。

 3) ゾビラックス点滴静注 添付文書
 4) ゾビラックス眼軟膏 添付文書
 5) ゾビラックス軟膏 添付文書

薬剤師としてのアドバイス:薬は、発病の早い段階で使う必要がある

 『バルトレックス』や『ゾビラックス』などの抗ウイルス薬は、ウイルスの増殖を抑える作用の薬です。そのため、ウイルスが最も活発に増殖する、発病の早い段階で最も効果的です。
 逆に、発症から時間が経つと、既にウイルスは増殖を終えてしまっているため、薬を飲んでも効果が得られません。

 このことから、『バルトレックス』や『ゾビラックス』などの薬は、帯状疱疹は5日以内、水痘は2日以内に薬を使い始めることが望ましいとされています。

 インフルエンザと同様、症状の兆しに気が付いたら、早めに病院を受診するようにしてください。

ポイントのまとめ

1. 『バルトレックス』は、吸収効率を改善した『ゾビラックス』のプロドラッグ
2. 『バルトレックス』は少ない服用回数で良く、『ゾビラックス』には注射や塗り薬がある
3. 帯状疱疹や水痘は、発病の早い段階で薬を使うと効果的

添付文書・インタビューフォーム記載事項の比較

◆有効成分
バルトレックス:バラシクロビル(バリン+アシクロビル)
ゾビラックス:アシクロビル

◆内服薬の適応症
バルトレックス:単純疱疹、帯状疱疹、水痘、性器ヘルペスの再発抑制
ゾビラックス:単純疱疹、帯状疱疹、水痘、性器ヘルペスの再発抑制

◆服用回数
バルトレックス:1日1~3回
ゾビラックス:1日4~5回

◆剤型の種類
バルトレックス:錠剤、顆粒
ゾビラックス:錠剤、顆粒、注射軟膏・クリーム眼軟膏

◆製造販売元
バルトレックス:グラクソ・スミスクライン
ゾビラックス:グラクソ・スミスクライン

+αの情報:剤型で適応症が異なる薬に注意

 大部分の薬は、飲み薬であれば錠剤でも顆粒でもドライシロップでも、それほど使い方に大きな違いはありません。
 しかし、中には『ゾビラックス』のように剤型が変わると適応症が異なるものがあります。こうした薬の剤型変更には注意が必要です。

※剤型で適応症が異なる薬の例
ゾビラックス:小児の水痘への適応は、顆粒のみ
アデホスコーワ:メニエール病に伴うめまいへの適応は、顆粒のみ

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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