■サイト内検索


スポンサードリンク

抗ヒスタミン薬 似た薬の違い

/

『アレグラ』と『ポララミン』、新旧の抗ヒスタミン薬の違いは?~効果と副作用の世代差、併用の意図

回答:副作用の少ない『アレグラ』、速効性がある『ポララミン』

 『アレグラ(一般名:フェキソフェナジン)』と『ポララミン(一般名:d-クロルフェニラミン)』は、どちらもアレルギーに使う「抗ヒスタミン薬」です。

 『アレグラ』は、眠気や口の渇きといった副作用の少ない”第二世代”の薬です。
 『ポララミン』は、速効性のある”第一世代”の薬です。

 現在のアレルギー治療は、副作用の少ない『アレグラ』などの”第二世代”の薬を使うのが基本です。しかし、急なアレルギー症状ですぐに治療が必要なときには、速く効く『ポララミン』などの”第一世代”の薬が使われる場合もあります。

 それぞれの特徴を活かして、定期薬と頓服薬として併用することもあります。

 

回答の根拠①:副作用が少ない「フェキソフェナジン」~多くの場面で第一選択薬になる”第二世代”の薬

 抗ヒスタミン薬では、副作用で眠くなることがよくあります。これは、薬が血液脳関門を通過して、脳にも作用してしまうことが原因で起こります。

 「クロルフェニラミン」などの”第一世代”の抗ヒスタミン薬は、脂溶性が高いためこの血液脳関門を通過して脳に移行しやすく、副作用で眠くなりやすい1)という欠点があります。薬を使った後の自動車運転などが禁止されている2)のも、これが理由です。
 特に、こうした眠気は自覚がないまま集中力や判断力を低下させ3,4)、学業成績や労働生産性にも悪影響を与えることもあります5,6)。

 一方で、「フェキソフェナジン」などの”第二世代”の抗ヒスタミン薬は脳に移行しにくいため、こうした眠気や集中力・判断力の低下を起こしにくいのが特徴です。そのため、現在の花粉症治療などでは、こうした眠くなりにくい”第二世代”の薬を使うのが基本になっています7)。

※脳への移行率の比較 8)
クロルフェニラミン:約50%(鎮静性)
フェキソフェナジン:3%未満(非鎮静性)

 特に「フェキソフェナジン」は、”第二世代”の薬の中でも特に脳へ移行しにくく、集中力や判断力にほとんど影響しないことが確認されている9)ことから、薬を使ったあとの自動車運転も制限されていません10)。

1) Ann Allergy Asthma Immunol.74(5):419-26,(1995) PMID:7749974
2) ポララミン錠 添付文書
3) Hum Psychopharmacol.33(2):e2655,(2018) PMID:29532516
4) J Allergy Clin Immunol.105(6 Pt 2):S622-7,(2000) PMID:10856168

5) Allergol Int.59(4):345-54,(2010) PMID:20864795
6) J Allergy Clin Immunol.120(2):381-7,(2007) PMID:17560637
7) 日本アレルギー学会 「鼻アレルギー診療ガイドライン2024年版」
8) Pharmacol Ther.113(1):1-15,(2007) PMID:16890992
9) Aviat Space Environ Med.74(2):145-52,(2003) PMID:12602446
10) アレグラ錠 添付文書

 

回答の根拠②:速効性がある「クロルフェニラミン」~”第一世代”の長所と使いどころ

 「フェキソフェナジン」などの”第二世代”の抗ヒスタミン薬は、眠気は少ないものの、効果が十分に発揮されるまでには少し時間がかかる場合があります。そのため、花粉症など予測できるアレルギーの場合には、症状が酷くなってからではなく、花粉が飛び始めた日(もしくは、少しでも症状が現れた日)から薬を飲み始めることが推奨されています7,10)。

 その点、「クロルフェニラミン」などの”第一世代”の抗ヒスタミン薬は、”第二世代”の薬に比べると速効性にやや優れる面があります11)。そのため、急なアレルギー症状を抑えたいときに適しています。

11) 臨床医薬.8(suppl-1):73 -86,(1992)

 

「抗コリン作用」も持つ”第一世代”の薬は、風邪の鼻症状にも効果がある

 「クロルフェニラミン」などの”第一世代”の抗ヒスタミン薬は、抗ヒスタミン作用と併せて抗コリン作用も持ち合わせています。そのため、鼻水がだらだら止まらないような水様性鼻漏のほか、風邪に伴う咳や鼻症状にも効果が期待できます12,13)。
 風邪薬(総合感冒薬)に古い”第一世代”の抗ヒスタミン薬ばかりが配合されているのには、こうした事情があります。

 しかしその反面、「抗コリン作用」によって起こる口の渇きや便秘などの副作用は多く、また前立腺肥大や緑内障の症状を悪化させる恐れもあるため、こうした持病を持つ人は使うことができない3)、という点には注意が必要です。 

12) Chest.129(1 Suppl):1S-23S,(2006) PMID:16428686
13) Cochrane Database Syst Rev.(11):CD009345,(2015) PMID:26615034

 

薬剤師としてのアドバイス:眠くなりやすい薬ほどよく効く…わけではない

 「抗ヒスタミン薬」は、花粉症や蕁麻疹など様々なアレルギー治療において、副作用の少ない”第二世代”の薬を使うのが基本です。
 ときどき、眠くなりやすい薬ほど効果も高い、と考えている人もおられますが、そういった相関関係は特にありません。「抗ヒスタミン薬」による眠気は、先述の通り薬の脂溶性=”薬が脳に移行しやすいかどうか”が大きく影響し、発揮される抗アレルギー作用とは直接の関係がないからです。

 特別な事情なく、敢えて眠くなりやすい薬を我慢しながら使っているような人は、一度医師・薬剤師に相談して、負担の少ない薬への切り替えを検討してみてください。

 

ポイントのまとめ

1. 『アレグラ(フェキソフェナジン)』などの”第二世代”は、眠気や抗コリン作用による副作用が少なく、いまのアレルギー治療の中心
2. 『ポララミン(クロルフェニラミン)』などの”第一世代”は、速効性に優れるが、眠気や抗コリン作用による副作用に注意が必要
3. 「抗ヒスタミン薬」は、”眠くなる薬ほどよく効く”というわけではない

 

薬のカタログスペックの比較

 添付文書、インタビューフォーム、その他の資料の記載内容の比較

フェキソフェナジンクロルフェニラミン
先発医薬品名アレグラポララミン
分類第二世代、非鎮静性第一世代、鎮静性
国際誕生年2000年1940年代
適応症アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症、アトピー性皮膚炎)に伴うそう痒蕁麻疹、血管運動性浮腫、枯草熱、皮膚疾患に伴うそう痒(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症、薬疹)、アレルギー性鼻炎、血管運動性鼻炎、感冒等上気道炎に伴うくしゃみ・鼻汁・咳嗽
用法1日2回1日1~4回
眠気の報告頻度0.5%5%以上
服用後の自動車運転制限なし禁止
前立腺肥大・緑内障への投与制限なし禁忌
日本版抗コリン薬リスクスケールの評価【1】【3】
妊娠中の安全性評価オーストラリア基準【B2】オーストラリア基準【A】
授乳中の安全性評価MMM【L2】MMM【L3】
剤型の種類錠(30mg、60mg)錠(2mg)、散、シロップ、ドライシロップ、注射
先発医薬品の製造販売元サノフィ高田製薬
配合剤プソイドエフェドリンとの配合剤『ディレグラ』ベタメタゾンとの配合剤『セレスタミン』
同成分のOTC医薬品『アレグラFX』、『アレグラFXジュニア』※風邪薬などに多く配合

 

+αの情報①:第一世代と第二世代を併用するケース

 ”第二世代”の抗ヒスタミン薬でアレルギー症状をうまくコントロールできていても、体調や気候などの影響で突発的に症状が悪化してしまうこともあります。
 こういった場合には、毎日続けて使っている「フェキソフェナジン」に、速効性に優れた「クロルフェニラミン」を頓服薬として追加する、といった使い方をすることがあります。

 ただし、花粉症治療ではこうした「抗ヒスタミン薬」の併用を考えるよりも、より効果が高くて眠くなる心配もない「ステロイドの点鼻薬」14)に切り替える方が一般的です。

14) Am J Respir Med.2(1):55-65,(2003) PMID:14720022

 

+αの情報②:妊娠中も”第一世代”を選ぶことがある

 最近は新しい”第二世代”の薬の安全性も多く報告されてきています15,16)が、古い”第一世代”の薬の方が使用実績は豊富なため、妊婦に対しては”第一世代”の薬が選ばれることもあります。
 特に「クロルフェニラミン」は、妊娠中の薬の安全性評価基準の1つである「オーストラリア基準」で、最もリスクの低い【A】に分類され、他の”第二世代”の薬よりも高く評価されています。

※疫学調査で先天異常に影響しないと評価されている「抗ヒスタミン薬」と、オーストラリア基準の評価

世代商品名一般名オーストラリア基準
第一世代ポララミンクロルフェニラミン
第二世代クラリチンロラタジンB1
デザレックスデスロラタジンB1
ジルテックセチリジンB2
アレグラフェキソフェナジンB2

15) J Am Acad Dermatol.70(3):401.e1-14,(2014) PMID:24528911
16) JAMA Pediatr.174(8):e201316,(2020) PMID:32478810

 

+αの情報③:「クロルフェニラミン」とステロイドを配合した『セレスタミン配合錠』

 「クロルフェニラミン」は、「ステロイド」と相乗効果を発揮することで、強力な抗アレルギー効果を発揮します17)。この相乗効果を利用した薬が『セレスタミン配合錠(一般名:d-クロルフェニラミン + ベタメタゾン)』です。
 速効性に優れた「第一世代の抗ヒスタミン薬」と「ステロイド」を組み合わせた薬で、急なアレルギーの切り札として使われています。

17) セレスタミン配合錠 インタビューフォーム

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

コメント

    • Fizz-DI
    • 2020年 11月 15日

    【修正】
    第二世代の抗ヒスタミン薬のうち、抗コリン作用が強く前立腺肥大による排尿障害や閉塞隅角緑内障に禁忌の指定があるのは「メキタジン」です。誤って第一世代の抗ヒスタミン薬である「クレマスチン」が記載されていましたので、修正しました。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

■主な活動

【書籍】
■羊土社
薬の比較と使い分け100(2017年)
OTC医薬品の比較と使い分け(2019年)
ドラッグストアで買えるあなたに合った薬の選び方を頼れる薬剤師が教えます(2022年)
■日経メディカル開発
薬剤師のための医療情報検索テクニック(2019年)
■金芳堂
医学論文の活かし方(2020年)
服薬指導がちょっとだけ上手になる本(2024年)

 

【執筆】
じほう「調剤と情報」「月刊薬事」
南山堂「薬局」、Medical Tribune
薬ゼミ、診断と治療社
ダイヤモンド・ドラッグストア
m3.com

 

【講義・講演等】
薬剤師会(兵庫県/大阪府/広島県/山口県)
大学(熊本大学/兵庫医科大学/同志社女子大学/和歌山県立医科大学)
学会(日本医療薬学会/日本薬局学会/プライマリ・ケア連合学会/日本腎臓病薬物療法学会/日本医薬品情報学会/アプライド・セラピューティクス学会)

 

 

【監修・出演等】
異世界薬局(MFコミックス)
Yahoo!ニュース動画
フジテレビ / TBSラジオ
yomiDr./朝日新聞AERA/BuzzFeed/日経新聞/日経トレンディ/大元気/女性自身/女子SPA!ほか

 

 

利益相反(COI)
特定の製薬企業との利害関係、開示すべき利益相反関係にある製薬企業は一切ありません。

■ご意見・ご要望・仕事依頼などはこちらへ

■カテゴリ選択・サイト内検索

スポンサードリンク

■おすすめ記事

  1. 『ラシックス』と『フルイトラン』、同じ利尿薬の違いは?~ルー…
  2. 『アイトロール』と『ニトロール』、同じ硝酸薬の違いは?~初回…
  3. 『ビビアント』と『エビスタ』、同じ骨粗鬆症の薬の違いは?~S…
  4. 『ランタス』と『ノボラピッド』、同じインスリン製剤の違いは?…
  5. 『パタノール』と『インタール』、同じアレルギー点眼液の違いは…
  6. 第52回 日本薬剤師会学術大会 分科会26に参加して
  7. 『デパケン』・『インデラル』・『ミグシス』、同じ片頭痛予防薬…

■お勧め書籍・ブログ

recommended
recommended

■提携・協力先リンク

オンライン病気事典メドレー

banner2-r

250×63

スポンサードリンク
PAGE TOP