『デザレックス』と『クラリチン』、新旧の抗ヒスタミン薬の違いは?~代謝酵素と個人差、用法の縛り


回答:『デザレックス』は、個人差の大きかった『クラリチン』を改良した薬

 『デザレックス(一般名:デスロラタジン)』と『クラリチン(一般名:ロラタジン)』は、どちらもアレルギーに使う「抗ヒスタミン薬」です。

 『デザレックス』は、遺伝的素質によって効き目に差が生じないように、『クラリチン』を改良した薬です。また、『クラリチン』のような用法指定もなく、いつ飲んでも良いのも特徴です。
デザレックスとクラリチン2
 『デザレックス』と『クラリチン』は、どちらもアレルギーの薬の中では眠くなりにくく、自動車運転などにも影響しないため、使いやすい薬です。



回答の根拠①:『デザレックス』~「CYP3A4」と「CYP2D6」による活性化が不要

 『クラリチン』は、そのままの構造では薬として作用しません。
 吸収された後、主に肝臓の代謝酵素「CYP3A4」や「CYP2D6」による代謝を受けて「デスロラタジン」となって初めて、薬としての作用を発揮するようになります1)。

 1) クラリチン錠 添付文書

 しかし、この代謝酵素の働きには人によって差があるため、薬の効き目にも個人差が生じてしまうことがあります。
デザレックスとクラリチン~CYPによる活性化
 『デザレックス』は、元から活性体「デスロラタジン」の形をしているため、代謝酵素による活性化の必要がありません2)。そのため、どんな人でも安定した効果を発揮することができます。
 実際、『デザレックス』は「CYP3A4」や「CYP2D6」の阻害剤と併用しても血中濃度に影響しないことが確認されています2)。

 2) デザレックス錠 インタビューフォーム

『デザレックス』には用法の縛りもない

 『クラリチン』の臨床試験は全て「夕食後」の服用で行われたため、用法も「夕食後」で指定されています3)。

 3) クラリチン錠 インタビューフォーム

 『デザレックス』には、こうした用法の縛りはありません2)。そのため、食後や寝る前などのタイミングに縛られることなく、いつ飲んでも良い薬です。



回答の根拠②:眠気が少なく、自動車運転も問題ない

 もともと『クラリチン』は眠気が少なく、集中力や判断力への影響が出にくい「抗ヒスタミン薬」です。そのため、添付文書上でも自動車運転への注意喚起は記載されていません1)。

 実際、『クラリチン』はパイロットの航空機操縦能力にも影響しないことが確認されています4)。

 4) Am J Rhinol.6(1):23-27,(1992) ※PubMed外

 このことから、『クラリチン』の代謝活性体である『デザレックス』も同様に眠気の少ない薬であると考えられ、添付文書上の注意喚起もありません5)。

 5) デザレックス錠 添付文書



薬剤師としてのアドバイス:たくさんある抗ヒスタミン薬をうまく使い分ける

 アレルギー治療に使う「抗ヒスタミン薬」には、既に色々な種類の薬があり、状況によって使い分けが行われています。

※「抗ヒスタミン薬」の使い分けの例
『ザイザル(一般名:レボセチリジン)』・・・眠気は出やすいが、高い効果を発揮する
『アレグラ(一般名:フェキソフェナジン)』・・・効果は穏やかだが、眠くなりにくい
『ポララミン(一般名:d-クロルフェニラミン)』・・・眠気は出やすいが、妊娠中でも安全に使える

 せっかく薬を飲んで症状が治まっても、物凄く眠くなってしまっては本末転倒です。逆に、眠くならなくともアレルギーの症状が治まらなければ薬を飲む意味がありません。
 しかし、「抗ヒスタミン薬」は全体的に効果・副作用ともに個人差が大きく、どの薬が合うのかは実際に薬を飲んでみないとわかりません。

 そんな中で、個人差の少ない『デザレックス』は多くの人にとって安定した効果を期待できる薬と言えます。



添付文書・インタビューフォーム記載事項の比較

◆有効成分
デザレックス:デスロラタジン (※ロラタジンの代謝活性体)
クラリチン:ロラタジン

◆用法
デザレックス:1日1回
クラリチン:1日1回、食後に服用

◆空腹時に服用した場合の影響
デザレックス:ほぼ影響なし
クラリチン:効果の実態である「デスロララジン」には影響なし

◆使用できる年齢
デザレックス:12歳以上
クラリチン:ドライシロップは3歳から使用可

◆CYP阻害作用を持つ薬との併用注意
デザレックス:記載なし
クラリチン:薬物代謝酵素(CYP3A4,CYP2D6)阻害作用を有する医薬品との併用注意

◆製造販売元
デザレックス:MSD
クラリチン:バイエル



+αの情報:『デザレックス』vs『ビラノア』~新しい抗ヒスタミン薬の勝負

 2016年末から2017年にかけて、「抗ヒスタミン薬」は『デザレックス』だけでなく『ビラノア(一般名:ビラスチン)』も発売が予定されています。

 個人差が少なく、食事や飲み物の影響を受けない『デザレックス』に対して、『ビラノア』はヒスタミンによって起こる腫れ・炎症を抑える効果が、より強力かつ迅速であることが報告されています6)。

 6) Curr Med Res Opin.21:1-8,(2016) PMID:27659218

 『デザレックス』と『ビラノア』の登場によって、「抗ヒスタミン薬」の布陣はより盤石になり、自分により合う薬を見つけられるようになることが期待されています。



 ~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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コメント

コメント一覧

    • Fizz-DI
    • 2017年03月04日 10:27
    • 回答の根拠①、『クラリチン』の体内動態について。
       空腹時服用では『クラリチン』のCmax・AUCともに大きく低下しますが、効果の中心である代謝活性体「デスロラタジン」のCmax・AUCには影響しません。
       『クラリチン』の用法が「夕食後」なのは、臨床試験時の用法がそのまま適用されているからです。

       この旨、修正しました。
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