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似た薬の違い EPA

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『エパデール』と『ロトリガ』、同じEPA製剤の違いは?~成分と効果、ガイドラインの推奨

回答:心血管イベントの抑制効果を期待して使う『エパデール』、TG値をより大きく下げられる『ロトリガ』

 『エパデール(一般名:イコサペント酸)』と『ロトリガ(一般名:ω-3脂肪酸)』は、どちらも中性脂肪(TG)値を下げる「n-3系多価不飽和脂肪酸」の薬です。

 『エパデール』はEPAだけの製剤で、主に心筋梗塞などの心血管イベントを防ぐ効果を期待して使います。
 『ロトリガ』はEPA+DHAの製剤で、TG値を大きく下げたい場合に適した薬です。

※EPA:イコサペント酸、DHA:ドコサヘキサエン酸

 確認されている効果に違いがあるため、通常は薬を使う”目的”によって使い分けられています。

回答の根拠①:心筋梗塞などを減らす「イコサペント酸(EPA)」~脂質異常症治療の選択肢

 『エパデール』は、 「イコサペント酸(EPA)」だけの製剤です。
 「EPA」は、主に魚の油に多く含まれる「n-3多価不飽和脂肪酸」で、中性脂肪(TG)を減らす作用があります。

 「HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)」でLDL-C値は下がったもののTG値が高いまま、という人に「EPA」を追加することで、心筋梗塞や脳卒中といった心血管イベントのリスクをより大きく下げることができます1,2,3)。
 このことから、脂質異常症の中でも特にTG値が高い人の”スタチンとの併用療法”がガイドラインでも推奨されています4)。

1) Lancet.369(9567):1090-8,(2007) PMID:17398308
2) N Engl J Med.380(1):11-22,(2019) PMID:30415628
3) Circ J.73(7):1283-90,(2009) PMID:19423946
4) 日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022 年版」

 

スタチンとの併用で推奨度が高い「EPA」

 高TG血症や低HDL-C値症を伴う脂質異常症では、スタチンに追加する薬として「EPA」や「フィブラート系」が選択肢になります。ただ、日本人を対象とした大規模な研究1)で心筋梗塞などを防ぐ効果が確認されている「EPA」の方が、推奨度は高く設定されています4)。

※高TG血症や低HDL-C血症を伴う脂質異常症に対する推奨度 4)
スタチン+EPA:エビデンスレベル1+、推奨度A
スタチン+フィブラート系:エビデンスレベル2、推奨度B

 

二次予防でも、「EPA」は治療の選択肢になる

 既に心筋梗塞などを起こした経験がある人の脂質異常症治療では、心筋梗塞や脳卒中の再発予防(二次予防)に”ストロング・スタチン”を可能な限り最大用量で用いるのが基本5)になります。
 ここでも「EPA」を追加することの上乗せ効果が示唆されている3)ため、「EPA」は二次予防目的でもスタチンと併用することがあります5)。

5) 日本循環器学会「急性冠症候群ガイドライン2018年改訂版」

 

回答の根拠②:TG値をより大きく下げられる「EPA+DHA」

 『ロトリガ』は、「EPA」だけでなく「DHA」も用いたn-3系多価不飽和脂肪酸の薬です。

※通常の1日量 6,7)
エパデール:EPA 1,800mg
ロトリガ :EPA 930mg + DHA 750mg

 通常の用量同士ではTG値を下げる作用に差はありません7)が、「DHA」は「EPA」よりもTG値を下げる作用が強力8)とされています。

 また「EPA」製剤は1.5倍までしか増量できない6)のに対し、「EPA+DHA」製剤は2倍まで増量できる7)ため、TG値をより大きく下げたい場合に使われることがあります。

6) エパデールS インタビューフォーム
7) ロトリガ粒状カプセル インタビューフォーム

8) Front Nutr.11:1423228,(2024) PMID:39403396

 

「EPA+DHA」では、心血管イベントの抑制効果は確認されていない

 「DHA」はTG値を下げる作用が強力とされる一方、LDL-C値を上げてしまう作用もある7)ことなどから、「EPA」に比べて心血管保護効果は劣る9)とされています。
 実際、「EPA」と違って「EPA+DHA」では、心筋梗塞や脳卒中リスクを抑える効果ははっきりと確認できていません10,11)。

 そのため、ガイドラインなどでも推奨されているのはn-3系多価不飽和脂肪酸の薬全般ではなく、「EPA」だけになっています4,5)。このことから、「EPA+DHA」は現状、TG値を下げることが目的の場合の選択肢になっています。

9) Circulation.140(16):1308-1317,(2019) PMID:31530008
10) JAMA.324(22):2268-2280,(2020) PMID:33190147
11) Eur Heart J Suppl.22(Suppl J):J34-J48,(2020) PMID:33061866

 

薬剤師としてのアドバイス:手術前には休薬が必要

 「EPA」や「DHA」といったn-3系多価不飽和脂肪酸は、血液をサラサラにする抗血小板作用も持っているため、副作用として出血しやすくなる傾向があります6,7)。
 そのため、手術をする際には前もって7~10日間(※血小板が新しく入れ替わるまでの期間)、服薬を中止しておく必要があります。

 「EPA」や「DHA」は、薬だけでなくサプリメントとしても販売されていますが、こうしたサプリメントを摂取している場合も、手術を受ける際には必ず事前に医師・薬剤師に伝えるようにしてください。

  

ポイントのまとめ

1. 『エパデール(EPA)』は、スタチンとの併用で、日本人の心筋梗塞や脳卒中を減らす効果が確認されている
2. 『ロトリガ(EPA+DHA)』は、増量幅が大きく、TG値をより大きく下げられる(が、心血管イベントの抑制効果は確認できていない)
3. 「EPA」や「DHA」には抗血小板作用があるため、手術前には7~10日の休薬が必要

 

 

薬のカタログスペックの比較

 添付文書、インタビューフォーム、その他資料の記載内容の比較

EPAEPA+DHA
先発医薬品の名称エパデールロトリガ
一般名表記イコサペント酸ω-3脂肪酸
通常用量の不飽和脂肪酸EPA 1,800mgEPA 930mg
+ DHA 750mg
最大用量の不飽和脂肪酸EPA 2,700mgEPA 1,860mg
+ DHA 1,500mg
主な適応症高脂血症、閉塞性動脈硬化症に伴う潰瘍・疼痛・冷感の改善高脂血症
用法1日2~3回、食直後1日1回または2回、食直後
ガイドラインでの推奨(一次予防) 4)ありなし
ガイドラインでの推奨(二次予防) 5)選択肢として記載なし
LDL-C値上昇に対する注意喚起記載なし記載あり
手術前の休薬必要必要
国際誕生年1990年(閉塞性動脈硬化症に伴う潰瘍・疼痛・冷感)
1994年(高脂血症)
2012年
開発された国日本ノルウェー
妊娠中の安全性評価オーストラリア基準【B1】オーストラリア基準【B1】
授乳中の安全性評価投与制限なし投与制限なし
世界での販売状況北米・欧州、タイなど10ヵ国以上世界70ヵ国
規格の種類小型軟カプセル(300mg,600mg,900mg)、軟カプセル(300mg)、EM軟カプセル(2g)粒状カプセル(2g)
代表製剤の製造販売元持田製薬武田薬品工業
同成分のOTC医薬品『エパデールT』サプリメントとしての販売あり

 

 

+αの情報①:1日1回の服用で良い『エパデールEM』

 従来、「EPA」は1日2~3回服用する必要がありました6)が、自己乳化剤を用いて吸収効率を改善した『エパデールEM』は、1日1回の服用で治療ができるようになっています12)。

 「EPA」はもともと食直後に服用する必要があるなど、少し面倒な薬です。その服薬の手間を1日1回に減らすことができる『エパデールEM』は、非常に便利な製剤と言えます。

12) エパデールEM インタビューフォーム

 

+αの情報②:「EPA」や「DHA」は相互作用リスクも低い

 「EPA」や「DHA」は、各種の代謝酵素やトランスポーターの影響をあまり受けないため、飲み合わせの悪い薬がほとんどない6,7)、という点も使いやすい薬です。
 ただし、出血傾向をより強める恐れがある抗凝固薬や抗血小板薬、NSAIDsなどの薬との併用には注意が必要なほか、『エパデール』などの「EPA」製剤は経口中絶薬『メフィーゴパック(一般名:ミフェプリストン+ミソプロストール)』と併用禁忌の指定がある点6)に注意が必要です。

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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