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ステロイド(内服) 薬の誤解

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ステロイドを飲んでいたら骨がもろくなるから、飲まない方が良い?~誇張表現が出回る副作用の問題

回答:飲まない方が良いかどうか、決めるのは医師

 確かに、ステロイドの内服薬には、骨がもろくなる「ステロイド性骨粗鬆症」という副作用があります。

 一般的に、プレドニゾロンとして5mgを3ヶ月以上続けて服用しているような場合に、注意しなければならない副作用です。3ヶ月未満の短期間であったり、5mg未満の少量であった場合には、特に神経質になる必要はありません

 ステロイドの飲み薬が処方されたということは、非常に強い炎症が起きている等、”ステロイドの飲み薬が必要である状態”であることを意味しています。
 勝手な自己流の判断で薬を飲まなかったりすると今の病状が悪化し、かえって体に大きな負担がかかることになります。また、急にステロイドをやめると別の副作用が起こる危険もあります。絶対にやめてください。

 正しく使用すれば怖いものではありません。不安がある時は必ず医師・薬剤師に相談し、処方された薬は指示通りに服用するようにしてください。

回答の根拠:ステロイド性骨粗鬆症のガイドライン

 ステロイドの副作用による骨粗鬆症に対しては、日本骨代謝学会によるガイドラインが制定されています。

 ステロイド内服薬を3ヶ月以上続けて服用している、もしくは服用する予定がある場合、その人の年齢や薬の量、現時点での骨密度などから骨折のリスクを評価します。
 このリスクの高さに応じて、ときどき骨密度を検査する程度でも大丈夫なのか、骨粗鬆症の治療薬を合わせて服用するのか、を判断します。

※ステロイド性骨粗鬆症の危険因子 1)
①既存骨折・・・既に骨折したことがある【+7】
②年齢・・・50歳~65歳未満【+2】、65歳以上【+4】
③ステロイドの服用量(プレドニゾロン換算)・・・5~7.5mg未満【+1】、7.5mg以上【+4】
④腰椎骨密度(%YAM)・・・70未満【+4】、70~80未満【+2】

 1) 日本骨代謝学会 「ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療ガイドライン (2014)」

 このリスク評価で、【合計3】を越えた場合には薬物療法を行い、骨密度の維持を図ります。

 【3未満】だった場合には、経過観察をしながら定期的にリスク評価を行います。加齢や薬の増量などで【3】を越えたときに、薬物療法を考えます。

※ステロイド性骨粗鬆症に対する薬物療法(推奨グレードA)
『フォサマック、ボナロン(一般名:アレンドロン酸)』
『ベネット、アクトネル(一般名:リセドロン酸)』

 従来は、骨密度を計測した上で個々の状況を考慮する必要がありました。
 しかしこのガイドライン制定によって、例えば65歳以上の人であったり、3ヶ月以上7.5mgを服用している人などは、骨密度を計測しなくとも薬物療法を開始できるようになりました。

薬剤師としてのアドバイス:正しく使えば恐れる必要はない

 基本的に、医師・薬剤師の指示通りに正しく使用している限り問題は滅多に起こりません。症状があるのに薬を飲まなかった場合の方が、症状が悪化するなど現実的に大きな問題になります。

 また、点鼻薬や塗り薬ではこうした全身的な副作用は起こりません

 ステロイドの副作用については、とにかく誇張された情報が出回っています。不確かな情報に惑わされることのないよう、疑問や不安は直接主治医・薬剤師に相談するようにしてください。

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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