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知っておくべきこと 薬の誤解

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『シングレア』と『キプレス』の違いは?~同じ薬でも、販売会社が異なると商品名も変わる

回答:全く同じ薬で、商品名だけ違う

 『シングレア(一般名:モンテルカスト)』と『キプレス(一般名:モンテルカスト)』は、有効成分・添加物・適応症・用法用量など、全て同じ薬です。
 そのため、得られる効果も、起こり得る副作用も、全く同じです。
シングレアとキプレス
 ただし、それぞれ別の会社から販売されているため、違う商品名が付けられています。

※製造販売元
シングレア:MSD
キプレス:杏林製薬

 『シングレア』と『キプレス』のように、全く同じ薬でありながら、販売会社が異なるために名前が違い、あたかも別の薬であるかのように存在する薬が、何パターンかあります。
 これらは理論上、全く同じ効果が得られるものですが、人によってはイメージや思い込みによって効果に差を感じる場合があります(例:プラセボ効果・ノセボ効果)。

回答の根拠:『シングレア』と『キプレス』の有効成分・添加物・適応症など

 『シングレア』と『キプレス』は、錠剤・細粒・チュアブル錠の3種類が販売されていますが、それぞれ全く同じ薬です。
 薬の有効成分、含有量、添加物、薬の剤型や色、適応症、用法・用量、全て同じです。

※【錠剤】:『シングレア』と『キプレス』の内容 1,2)
◆有効成分・・・モンテルカストナトリウム
◆含有量・・・5mg、10mg
◆添加物・・・乳糖水和物、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースNa、ステアリン酸Mg、ヒプロメロース、酸化チタン、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、カルナルバロウ
◆剤型・色調・・・円形・フィルムコーティング錠・明るい灰黄色、直径8.0mm
◆適応症・・・気管支喘息、アレルギー性鼻炎
◆用法・用量・・・喘息には1日1回就寝前に10mg、アレルギー性鼻炎には1日1回就寝前に5~10mg

 1) シングレア錠 添付文書
 2) キプレス錠 添付文書

※【細粒】:『シングレア』と『キプレス』の内容 3,4)
◆有効成分・・・モンテルカストナトリウム
◆含有量・・・4mg
◆添加物・・・D-マンニトール、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム
◆剤型・色調・・・白色の細粒剤
◆適応症・・・気管支喘息
◆用法・用量・・・1歳以上6歳未満の小児に、1日1回就寝前に4mg(1包)

 3) シングレア細粒 添付文書
 4) キプレス細粒 添付文書

※【チュアブル錠】:『シングレア』と『キプレス』の内容 5,6)
◆有効成分・・・モンテルカストナトリウム
◆含有量・・・5mg
◆添加物・・・D-マンニトール、結晶セルロース、三二酸化鉄、ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、アスパルテーム (L-フェニルアラニン化合物)、香料
◆剤型・色調・・・円形・裸錠・うすい赤色、直径9.5mm
◆適応症・・・気管支喘息
◆用法・用量・・・6歳以上の小児に、1日1回就寝前に5mg(1錠)

 5) シングレアチュアブル錠 添付文書
 6) キプレスチュアブル錠 添付文書

薬剤師としてのアドバイス:子どもの場合、家庭でも「同じ薬」と教えることが大切

 『シングレア』と『キプレス』は、薬として全く同じものです。そのため、効き目に違いが生じることは、理論上ありません。
 しかし、例えば以前に『シングレア』を飲んだ時に物凄く症状が良くなった経験をしていたり、逆に何か体調が悪くなった経験をしていたりする場合には、その印象・イメージによって効果に違いを感じることもあります(例:プラセボ効果、ノセボ効果)。

 特に子どもの場合、薬のシートデザインが変わったことで「全く違う薬だ」と認識してしまうことがあります。そのような場合には、薬局だけでなくご家庭でも「同じ薬である」ということをしっかりと伝える必要があります。

+αの情報:商品名だけが違う薬の例

 『シングレア』と『キプレス』のように、商品名だけが違う薬はいくつか存在します。いずれも有効成分は全く同じものですが、中にはその含有量や適応症などに違いがある場合もあります。

※商品名だけが違う、同じ薬の例

「アムロジピン」(Ca拮抗薬
『アムロジン』・・・大日本住友製薬
『ノルバスク』・・・ファイザー

「イルベサルタン」(ARB
『イルベタン』・・・塩野義
『アバプロ』・・・大日本住友

「フルボキサミン」(SSRI:抗うつ薬
『ルボックス』・・・アッヴィ
『デプロメール』・・・MeijiSeikaファルマ

「ミルタザピン」(NaSSA:抗うつ薬
『リフレックス』・・・MeijiSeikaファルマ
『レメロン』・・・MSD

「レボドパ + カルビドパ」(パーキンソン病治療薬)
『ネオドパストン』・・・第一三共
『メネシット』・・・MSD

「クロルプロマジン」(フェノチアジン系抗精神病薬)
『コントミン』・・・田辺三菱製薬
『ウインタミン』・・・塩野義

「レボメプロマジン」(フェノチアジン系抗精神病薬)
『レボトミン』・・・田辺三菱製薬
『ヒルナミン』・・・塩野義

「アルプラゾラム」(ベンゾジアゼピン系抗不安薬)
『ソラナックス』・・・ファイザー
『コンスタン』・・・武田薬品工業

「ジアゼパム」(ベンゾジアゼピン系抗不安薬)
『ホリゾン』・・・丸石製薬
『セルシン』・・・武田薬品工業 

「クロルジアゼポキシド」(ベンゾジアゼピン系抗不安薬)
『バランス』・・・丸石
『コントール』・・・武田薬品工業

「クロナゼパム」(ベンゾジアゼピン系抗てんかん薬)
『リボトリール』・・・中外製薬
『ランドセン』・・・大日本住友製薬

「ロルメタゼパム」(ベンゾジアゼピン系睡眠薬)
『ロラメット』・・・あすか・武田薬品工業
『エバミール』・・・バイエル

「フルニトラゼパム」(ベンゾジアゼピン系睡眠薬)
『ロヒプノール』・・・中外製薬
『サイレース』・・・エーザイ

「アレンドロン酸」(ビスホスホネート製剤
『ボナロン』・・・帝人ファーマ
『フォサマック』・・・MSD

「リセドロン酸」(ビスホスホネート製剤
『アクトネル』・・エーザイ・味の素製薬
『ベネット』・・・武田薬品工業

「ミノドロン酸」(ビスホスホネート製剤
『ボノテオ』・・・アステラス製薬
『リカルボン』・・・小野薬品工業

「イミダフェナシン」(過活動膀胱治療薬)
『ウリトス』・・・杏林製薬
『ステーブラ』・・・小野薬品工業

「シタグリプチン」(DPP-4阻害薬
『ジャヌビア』・・・MSD
『グラクティブ』・・・小野薬品工業

「ナテグリニド」(インスリン分泌促進薬
『スターシス』・・・アステラス製薬
『ファスティック』・・・持田製薬・味の素製薬

「グリベンクラミド」(SU剤)
『ダオニール』・・・サノフィ・アベンティス
『オイグルコン』・・・中外製薬

「ポリカルボフィルCa」(過敏性腸症候群治療薬)
『コロネル』・・・アステラス製薬
『ポリフル』・・・アボット

「アモキシシリン」(ペニシリン系抗生物質)
『サワシリン』・・・アステラス製薬
『パセトシン』・・・協和発酵キリン

「ロメフロキサシン」(ニューキノロン系抗生物質)
『ロメバクト』・・・塩野義
『バレオン』・・・アボット

「トスフロキサシン」(ニューキノロン系抗生物質)
『オゼックス』・・・大正富山
『トスキサシン』・・・アボット

「クラリスロマイシン」(マクロライド系抗生物質)
クラリス』・・・大正富山
クラリシッド』・・・アボット

「スルファメトキサゾール + トリメトプリム」(ST合剤)
『バクタ』・・・塩野義
『バクトラミン』・・・中外製薬

「ブテナフィン」(ベンジルアミン系抗真菌薬
『メンタックス』・・・科研
『ボレー』・・・久光

「ジフロラゾン酢酸エステル」(ステロイド外用剤[Ⅰ群]
『ジフラール』・・・アステラス製薬
『ダイアコート』・・・ファイザー

「エトドラク」(解熱鎮痛薬NSAIDs)
『ハイペン』・・・日本新薬
『オステラック』・・・あすか・武田薬品工業

「フドステイン」(去痰薬)
『スペリア』・・・久光
『クリアナール』・・・田辺三菱製薬

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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薬剤師のための医療情報検索テクニック(2019年)
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