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知っておくべきこと 副作用

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『アスベリン』や『アドナ』を飲んでいると、尿の色が赤っぽくなる?~着色尿の原因とその種類

回答:赤っぽい尿になるが、薬が出て行っているだけなので心配ない

 咳止めの『アスベリン(一般名:チピペジン)』や、止血薬の『アドナ(一般名:カルバゾクロム)』を飲んでいると、赤っぽい尿が出る場合があります。
 これは、もともと赤っぽい色をしている薬が、役目を終えて尿として出て行っているだけのもので、全く心配の必要はありません。
アスベリン、アドナによる着色尿

 ただし、身体の異常や薬の副作用で尿の色が変わる場合もあります。そのため、尿の色が変わった場合には原因をはっきりさせる必要があります。
尿の赤変
 心配な場合には一度、いま飲んでいる薬と、どんな色の尿なのかを医師・薬剤師に伝え、相談することをお勧めします。

回答の根拠①:心配ない着色尿~色のついた薬が尿中に排泄される場合

 『アスベリン』は、薬そのものは白~淡黄色をしていますが、体内で代謝を受けると赤色になります。この代謝産物が尿中に排泄されるため、赤みがかかった尿になる場合があります1)。

 1) アスベリン錠 添付文書

 『アドナ』は、薬そのものが橙黄色をしています。そのため、排泄される際に橙黄色がかった尿になる場合があります2)。

 2) アドナ錠 添付文書

 こうした着色尿は、体内で役目を終えた薬が尿として出て行っているだけのもので、全く心配の必要はありません。

 ただし、普通に薬を使っているだけでは、見て驚くほど色が変わるようなことはほとんどありません。
 また、そもそも尿の色は水分摂取量などによっても変わる(例:脱水症状)ため、人によっては普段通りの色の尿しか出ないこともありますが、その場合でも特に薬が身体に蓄積しているというわけでもありません。

回答の根拠②:心配な着色尿~横紋筋融解症など、副作用によるもの

 着色尿は、薬の副作用の兆候である場合もあります。

 例えば、『クレストール(一般名:ロスバスタチン)』や『リピトール(一般名:アトルバスタチン)』、『リバロ(一般名:ピタバスタチン)』などの脂質異常症の薬(「スタチン」製剤)を服用している際の、尿の着色には注意が必要です。
 これらの薬には、稀に「横紋筋融解症」という副作用を起こす恐れがあります。この副作用では、初期に尿が褐色になることがあります。
横紋筋融解症と褐色尿

 尿の着色は、身体の異常を示す自覚症状の一つです。色のついた薬を飲んでいない、医師・薬剤師から尿が着色するような薬だと言われていないにも関わらず、急に尿の色が変わった場合には、一度病院を受診するようにしてください。

薬剤師としてのアドバイス:検査値への影響にも注意

 『アスベリン』や『アドナ』のように、尿中に排泄される際に、薬の色によって尿が着色してしまうものはたくさん存在します。
 こうした薬を服用する際、ほぼ必ず薬剤師が着色尿についての説明を予め行っていますが、聞き漏らした等の理由で、着色尿に驚き、不安を感じてしまう人は少なくありません。

 最近では、お薬手帳や薬剤情報提供書(薬の説明書)などにも、着色尿に関する注意事項が書かれていることがほとんどです。
 不必要な不安を感じることのないよう、自分や家族が飲む薬については、どんな副作用があるのかを知っておくことをお勧めします。

 また、尿検査などの際にこうした着色が検査値に影響を与える可能性もあるため、検査の際には自分が飲んでいる薬の内容は必ず医師に伝えるようにしてください。

+αの情報:着色尿が確認されている薬(内服薬)の例

 薬によって着色尿が起こる可能性について、添付文書にその旨が記載されているものがあります。

※赤色系の着色尿
『セフゾン(一般名:セフジニル)』:
『アスベリン(一般名:チペピジン)』:
『セスデン(一般名:チメピジウム)』:
『プルゼニド(一般名:センノシド)』黄褐色または
『キネダック(一般名:エパルレスタット)』:黄褐色または
『リファジン(一般名:リファンピシン)』橙赤
『アザルフィジン(一般名:サラゾスルファピリジン)』:黄赤
『フラジール(一般名:メトロニダゾール)』暗赤

※黄色系の着色尿
『フラビタン(一般名:フラビンアデニンジヌクレオチド)』:
『ハイボン(一般名:リボフラビン)』:
『ビタノイリン(一般名:ビタミンB群)』
『ノイロビタン(一般名:ビタミンB群)』
『アドナ(一般名:カルバゾクロム)』:橙黄

※黒色系の着色尿
『ドパゾール(一般名:レボドパ)』:黒色
『アルドメット(一般名:メチルドパ)』:黒色

※青~緑色系の着色尿
『オダイン(一般名:フルタミド)』琥珀色または黄緑
『ノバントロン(一般名:ミトキサントロン)』:

 ※各添付文書参照

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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