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抗血小板薬 薬の飲み方

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『バイアスピリン』は粉砕不可?~副作用を減らす「腸溶錠」の意図と粉砕の可否

回答:効果には影響しないため粉砕も可

 『バイアスピリン(一般名:アスピリン)』は、腸で溶けるように設計された「腸溶錠」です。

 これは、有効成分が胃に直接触れることで起こる潰瘍や出血を防ぐための工夫です。そのため、通常は粉砕したり噛み砕いたりせずに飲む必要があります。
バイアスピリンの粉砕
 しかし、薬の効果が無くなってしまうわけではないため、錠剤を飲み込めない場合には粉砕することもできます。

回答の根拠①:「アスピリン」による胃粘膜傷害と、腸溶錠の意図

 「アスピリン」などのNSAIDsは、胃粘膜を守る「プロスタグランジン」を減らす作用があるため、副作用で胃を荒らしやすい傾向があります。
 中でも特に「アスピリン」は、薬が胃粘膜に直接触れた際の局所的な刺激も、粘膜傷害や出血といった副作用の大きな要因となります1)。
アスピリンの胃粘膜傷害~PGと直接刺激
 1) Ann Intern Med.104(3):390-8,(1986) PMID:3511824

 そのため、「抗血小板薬」として長期的に飲み続ける必要のある『バイアスピリン』は、薬が胃粘膜と直接触れないように、腸で薬が溶け出す「腸溶錠」として作られています2)。

 2) バイアスピリン錠 インタビューフォーム

 数あるNSAIDsの中でも、『バイアスピリン』だけが「腸溶錠」として設計されているのは、このためです。通常は、噛み砕いたりせずに服用する必要があります。

回答の根拠②:粉砕しても、薬の効果は変わらない

 『バイアスピリン』を粉砕すると、薬の有効成分が胃で分解され、効果が弱まってしまうと書かれた情報が散見されますが、これは誤りです。「アスピリン」は胃酸では分解されません。

 実際、同じ「アスピリン」製剤である『バファリンA81(一般名:アスピリン + ダイアルミネート)』は「腸溶錠」ではなく、そのままの「素錠」です3)。また、「アスピリン」単独の原末も薬として使われています4)。
アスピリンの剤型~腸溶錠と素錠、原末
 3) バファリン配合錠A81 添付文書
 4) アスピリン原末「マルイシ」 添付文書

粉砕した場合、薬の吸収がやや早まる

 『バイアスピリン』を「腸溶錠」のまま服用すると、胃での副作用を減らせる反面、胃に留まっている約3時間程度は薬の効果が得られません。
 そのため、急性期の初期治療の場合には、敢えて錠剤を粉砕・噛み砕いて服用することで、15分程度と短い時間で効果を発揮させ、治療を急ぐことができます2)。

※アスピリン製剤の吸収の速さ 2)
素錠のTmax・・・・0.55~0.58時間
腸溶錠のTmax・・・3.43~4.01時間

 このように、『バイアスピリン』は「腸溶錠」で無くなっても薬としてきちんと作用するため、錠剤を飲み込めない場合には、粉砕して処方される場合があります。

回答の根拠③:「アスピリン」の安定性

 「アスピリン」は空気中の水分を吸収して「サリチル酸」と「酢酸」に分解される性質があります2)。そのため、『バイアスピリン』を粉砕した場合、この「酢酸」の匂いや味を感じることがあります。
アスピリンの加水分解
 「酢酸」は少量でも強い匂いと酸味を感じるため、薬の大部分が分解されてしまっているように誤解されることがあります。
 しかし実際には、『バイアスピリン』の錠剤を粉砕した場合でも、分包紙+薬袋に入っていれば通常の保管状況(25℃・75%RH・1,000lux/h)で30日間安定であることが確認されています2)。

 そのため、できるだけ湿気を避けることで、粉砕した後の薬もある程度の期間は保管することが可能です。

薬剤師としてのアドバイス:粉砕した場合は、副作用や保管方法により注意

 『バイアスピリン』は粉砕しても薬の効果に影響はありませんが、「腸溶錠」でなくなるため、胃での副作用はより起こりやすくなります。
 そのため、食後(胃に食べ物がある状態)で服用する、水分摂取制限が無ければコップ1杯(180mL程度)の十分な量の水で服用する、胃薬を併用するなど、通常よりも副作用に気を付けなければなりません。

 また、より湿気で分解しやすくなるため、保管方法にも注意が必要です。

 なお「腸溶錠」の中には、粉砕したり噛み砕いたりすると薬としての効果が無くなってしまうものもあります。自己判断で薬に手を加えないようにしてください。

ポイントのまとめ

1. 『バイアスピリン』は、薬が胃粘膜に直接触れないよう、「腸溶錠」になっている
2. 『バイアスピリン』は粉砕しても、薬の効果には影響しない(吸収は早くなる)
3. 粉砕した場合、胃への副作用・湿気による分解に、より注意が必要

+αの情報:「アスピリン」の原末には抗血小板薬としての保険適用が無い

 「アスピリン」の原末は主に解熱鎮痛薬として使われる薬で、『バイアスピリン』のように抗血小板薬としての保険適用がありません4)。
 そのため、嚥下困難の場合には『バイアスピリン』を粉砕する、という方法が一般的です。

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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