『ボルタレン』の「サポ」は、錠剤と何が違う?~坐薬にする3つのメリット、即効性・副作用・小児への使用


回答:坐薬は早く効いて、副作用が少なく、1歳から使える

 痛み止めの『ボルタレン(一般名:ジクロフェナク)』には、飲み薬である錠剤やカプセルの他に、『ボルタレンサポ』という「坐薬(サポ:suppository)」があります。

 「坐薬(サポ)」は、錠剤やカプセルよりも早く効いて、副作用が少ないというメリットがあります。
ボルタレンの投与経路~内服と坐剤
 また、「坐薬(サポ)」は1歳から使えるため、『カロナール(一般名:アセトアミノフェン)』など小さな子どもでも使える優しい痛み止めでは十分に痛みが治まらない場合には、貴重な選択肢になります。




回答の根拠①:飲み薬にはない、即効性

 坐薬である『ボルタレンサポ』は、飲み薬よりも2倍以上早く吸収されます。
ボルタレン~内服と坐剤の吸収

※ボルタレンの最高血中濃度到達時間(Tmax) 1)
錠剤25mg・・・2.72時間
サポ25mg・・・0.81時間
サポ50mg・・・1.00時間

 1) ボルタレンサポ インタビューフォーム

 『ボルタレン』は、同じ鎮痛薬である『ロキソニン(一般名:ロキソプロフェン)』よりも強い鎮痛効果を持ちながらも、即効性ではやや劣る傾向にあります。

 そのため「サポ(坐薬)」は、強い鎮痛効果と即効性を両立させた優れた薬と言えます。



回答の根拠②:少なく抑えられる副作用

 『ボルタレン』などの鎮痛薬は、胃や腸の粘膜を荒らす副作用が多いのが弱点です。

 こうした胃腸障害の副作用は、「坐薬(サポ)」では少なく抑えることができます2)。

※ボルタレンの内服薬・坐薬による胃腸障害の頻度差 2)
錠剤・・・6.63~9.43%
坐薬・・・0.83~4.93%

 2) NOVARTIS(株) ボルタレンFAQ

 そのため、胃腸への副作用を少なく抑えるために「坐薬(サポ)」を選ぶ場合があります。

 ただし、こうした胃腸障害は薬理作用によるもののため、胃を通らない「坐薬(サポ)」であっても胃腸障害のリスクはゼロではありません。

 必要に応じて『ネキシウム(一般名:エソメプラゾール)』などの胃酸分泌抑制薬や、『セルベックス(一般名:テプレノン)』や『ムコスタ(一般名:レバミピド)』などの胃粘膜保護薬を一緒に使う必要があります(※厳密には、保険適用のある『サイトテック(一般名:ミソプロストール)』を選ぶ必要があります)。



回答の根拠③:1歳からの適応がある

 内服薬である『ボルタレン』の錠剤やカプセルは、成人にしか適応がなく、小児用の用量設定はありません3,4)。これは『ロキソニン』など他のNSAIDsに分類される多くの解熱鎮痛薬に共通します

 3) ボルタレン錠 添付文書
 4) ボルタレンSRカプセル 添付文書


 そのため、通常は小さな子どもには『カロナール(一般名:アセトアミノフェン)』を使うことになります。
 しかし、『カロナール』の鎮痛効果は優しめです5)。そのため、痛みが強い場合には十分な効果が得られないこともあります。

 5) カロナール錠 添付文書


 『ボルタレンサポ』は1歳から用量が設定されているため、『カロナール』で痛みが治まらない場合の貴重な選択肢となります。

※ボルタレンサポの用量設定の目安 6)
1~3歳:6.25mg
3~6歳:6.25~12.5mg
6~9歳:12.5mg
9~12歳:12.5~25mg

 6) ボルタレンサポ 添付文書



薬剤師としてのアドバイス:『ボルタレンサポ』は通常、解熱には使わない

 『ボルタレン』は解熱鎮痛薬に分類される薬で、熱を下げる効果もあります。

 しかし、インフルエンザの際には『ボルタレン』等のNSAIDsは「インフルエンザ脳症」を引き起こすリスクがあるため、避ける必要があります。
 こうした点から、『ボルタレンサポ』は他の解熱薬で効果が得られないか、他の投与方法が無い場合の緊急解熱としての使用に限られています5)。
 
 『ボルタレンサポ』のような頓服の痛み止めは余ることの多い薬ですが、家に余っているからといって安易な使用をしないようにしてください



+αの情報:解熱には「アセトアミノフェン」の坐薬もある

 『カロナール』などの「アセトアミノフェン」製剤にも、『ボルタレン』と同じように坐薬があります。

 特に小さな子どもの解熱薬には、インフルエンザの時でも安全に使える「アセトアミノフェン」を選ぶのが一般的です。

※「アセトアミノフェン」の坐薬の例
『カロナール』坐剤
『アルピニー』坐剤
『アンヒバ』坐剤



 ~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。
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