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解熱鎮痛薬・NSAIDs 似た薬の違い

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『ロキソニン』と『ソランタール』、同じ痛み止めの違いは?~作用の強弱と解熱効果、NSAIDsの使い分け

 

回答:『ソランタール』は胃にやさしく、「アスピリン喘息」を起こしにくい

 『ロキソニン(一般名:ロキソプロフェン)』と『ソランタール(一般名:チアラミド)』は、どちらもNSAIDsに分類される痛み止めです。

 『ソランタール』は、『ロキソニン』と比べると胃にやさしく、「アスピリン喘息」も起こしにくいなど、副作用が少ない薬です。
 ただし、『ソランタール』は効き目もやさしめで、また解熱効果もほとんどありません。
ロキソニンとソランタール
 そのため、『ソランタール』は何らかの事情で『ロキソニン』など他の一般的な痛み止めを使えない場合に使うのが一般的です。

回答の根拠:COX阻害が無い『ソランタール』の特徴

 『ロキソニン』は、酵素「シクロオキシゲナーゼ(COX)」を阻害することで、痛み・炎症・発熱を抑えます1)。
 『ソランタール』にはこの「COX阻害作用」が無く、炎症部位の「ヒスタミン」や「セロトニン」をブロックすることで炎症を抑え、それによって痛みを和らげます2)。

 1) ロキソニン錠 添付文書
 2) ソランタール錠 インタビューフォーム

 直接の比較試験はありませんが、一般的に『ロキソニン』など「COX阻害作用」によって得られる効果の方が強力で、『ソランタール』の作用はやさしめである、とされています3)。

 3) 南江堂 「今日の治療薬(2017)」

 

COX阻害作用の有無で生じる違い①~解熱効果

 ヒトが風邪をひいた時などの発熱には、「プロスタグランジン」が関係しています。
 この「プロスタグランジン」は「COX」によって作られているため、『ロキソニン』など「COX阻害作用」のある薬を使うと発熱を和らげることができます。
ロキソニンとソランタール~作用の違い
 一方で、COX阻害作用が無い『ソランタール』には、解熱効果がほとんどありません。
 実際、『ソランタール』は炎症と痛みを抑える目的のみで使われ、他のNSAIDsのように解熱を目的とした使い方に保険適用はありません4)。

 4) ソランタール錠 添付文書

 

COX阻害作用の有無で生じる違い②~胃を荒らす副作用

 痛みや炎症の原因になる「プロスタグランジン」は、胃の粘膜を守る作用も持っています。そのため、『ロキソニン』など「COX阻害作用」のある薬は副作用で胃を荒らしやすいという弱点があります。
ロキソニンが胃を荒らす理由
 空腹時には服用を避けたり、一緒に胃薬を飲んだりする必要があるのは、このためです。

 一方、『ソランタール』の作用にはCOXが関係していないため、胃粘膜への副作用はほとんどありません1,3)。

 

COX阻害作用の有無で生じる違い③~アスピリン喘息のリスク

 解熱鎮痛薬に対するアレルギーの一つである「アスピリン喘息」には、COX阻害作用(特にCOX-1)が関係していると考えられています。
 そのため、COX阻害作用を持たない『ソランタール』は、「アスピリン喘息」のリスクが低い薬と言えます。

 実際、『ソランタール』は「アスピリン喘息」の人でも、ほぼ安全に使える薬であると評価されています5,6)。ただし、添付文書上は「禁忌」に指定されている3)ため、安易な使用は控えるべきです。

 5) 独立行政法人国立病院機構 臨床研究センター
 6) 厚生労働省 重篤副作用疾患別マニュアル

薬剤師としてのアドバイス:『ソランタール』が処方された時は、何か理由がある

 特に持病やアレルギーが問題ない場合、痛みや炎症には『ロキソニン』を使うのが一般的です。

 そのため、『ソランタール』を処方された場合には、『ロキソニン』ではダメな何らかの理由があると考えるのが妥当です。安易に自己判断で薬を変えたりしないようにしてください。

 特に、『ロキソニン』や『ボルタレン(一般名:ジクロフェナク)』などの痛み止めは多くの人に処方される薬です。家族に処方された薬が家に残っている、といったケースも少なくありません。
 たとえ家族のものであっても、他人の薬を使うことは非常に危険ですので、絶対に止めるようにしてください。

 

ポイントのまとめ

1. 『ソランタール』は胃にやさしく、「アスピリン喘息」のリスクも低い
2. 『ソランタール』の効果は『ロキソニン』よりやさしめで、解熱効果もほとんどない
3. たとえ家族間でも、たかが痛み止めであっても、薬の使いまわしは危険

 

添付文書、インタビューフォーム記載内容の比較

◆効能・効果
ロキソニン:鎮痛、消炎、解熱
ソランタール:鎮痛、消炎

◆用法
ロキソニン:1日2~3回、もしくは頓服
ソランタール:1日2~3回、もしくは頓服

◆最大用量
ロキソニン:通常180mgまで
ソランタール:通常300mgまで

◆消化性潰瘍に対する添付文書上の表現
ロキソニン:禁忌
ソランタール:禁忌

◆アスピリン喘息に対する添付文書上の表現
ロキソニン:禁忌
ソランタール:禁忌

◆主な副作用
ロキソニン:消化器症状(2.25%)
ソランタール:食欲不振・胸焼け(3.28%)

◆錠剤の種類
ロキソニン:60mg錠のみ
ソランタール:50mg錠、100mg錠

◆製造販売元
ロキソニン:第一三共
ソランタール:アステラス製薬

+αの情報①:NSAIDsにも酸性・中性・塩基性の3種類がある

 「NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)」には数多くの薬がありますが、化学物質としての性質から酸性・中性・塩基性の3種類に大きく分類することができます。

 酸性NSAIDsには、『ロキソニン』や『ボルタレン』など広く使われている強力な薬が該当します。
 中性NSAIDsには、選択的COX-2阻害薬である『セレコックス(一般名:セレコキシブ)』が該当します。
 塩基性NSAIDsには、『ソランタール』などCOX阻害作用を持たない特殊な薬が該当します。

 炎症を抑える効果を持ちながらステロイドでないものはNSAIDsに分類されるため、ひとことにNSAIDsと言っても色々な薬があります。

+αの情報②:「アスピリン喘息」でも使える痛み止め

 「アスピリン喘息」の人でも使える痛み止めには、以下のようなものがあります。

『カロナール』・・・1回500mg未満のアセトアミノフェン製剤
『ソランタール』・・・塩基性NSAIDs
『セレコックス』・・・COX-2阻害薬
『リリカ(一般名:プレガバリン)』・・・神経痛の痛み止め
『ノイロトロピン』・・・神経痛にも効果のある痛み止め
『葛根湯』・・・漢方薬
『トラマール(一般名:トラマドール)』・・・オピオイド鎮痛薬

 ただし、『カロナール』や『ソランタール』、『セレコックス』なども危険性がゼロというわけではないため、治療上仕方がない場合に、少量から使うのが原則です3)。

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。

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