■サイト内検索


スポンサードリンク

抗ヒスタミン薬 似た薬の違い

/

『ザイザル』と『シングレア』、同じアレルギー薬の違いは?~「ヒスタミン」と「ロイコトリエン」

回答:『ザイザル』は「ヒスタミン」、『シングレア』は「ロイコトリエン」をブロックする

 『ザイザル(一般名:レボセチリジン)』と『シングレア(一般名:モンテルカスト)』は、どちらもアレルギーを抑える薬です。

 『ザイザル』は、くしゃみ・鼻水・痒みの原因となる「ヒスタミン」をブロックする「抗ヒスタミン薬」です。
 『シングレア』は、喘息・鼻づまりの原因となる「ロイコトリエン」をブロックする「抗ロイコトリエン薬」です。
ザイザルとシングレア
 同じアレルギーの薬でも効き目が違うため、症状によって使い分けたり、一緒に組み合わせて使ったりします。

回答の根拠:「ヒスタミン」と「ロイコトリエン」による症状と、適応症の違い

 「ヒスタミン」はくしゃみ・鼻水・痒みや腫れなどのアレルギー症状を引き起こします。そのため、『ザイザル』などの「抗ヒスタミン薬」は、鼻炎の他にも蕁麻疹や皮膚炎に適応があります1)。

 「ロイコトリエン」は、鼻づまりや喘息(気管支の閉塞)などのアレルギー症状を引き起こします。そのため、『シングレア』などの「抗ロイコトリエン薬」は、鼻炎の他にも気管支喘息に適応があります2)。
抗ヒスタミン薬と抗ロイコトリエン薬の適応
 1) ザイザル錠 添付文書
 2) シングレア錠 添付文書

鼻炎の場合は、症状によって使い分け・併用する

 花粉症などの鼻炎に対しては、両方の薬に適応があります。

 ただし、くしゃみ・鼻水が止まらない「くしゃみ・鼻漏型」には「抗ヒスタミン薬」、鼻づまりが酷い「鼻閉型」には「抗ロイコトリエン」の推奨度が高く設定されています3)。
鼻炎に対する抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬
 3) 鼻アレルギー診療ガイドライン -通年性鼻炎と花粉症- 2016年版

薬剤師としてのアドバイス:鼻づまりが酷い場合は病院の受診を

 アレルギーの薬のうち、くしゃみ・鼻水・痒みに効く「抗ヒスタミン薬」は、『アレジオン20』や『アレグラFX』をはじめ、色々な種類の薬が市販されています。
 軽い鼻づまりであれば市販の「抗ヒスタミン薬」でも治る場合もありますが、単独で酷い鼻づまりはなかなか治りません。

 特に、鼻づまりに良く効くからと「血管収縮剤」の点鼻薬を使い過ぎると、薬が原因の鼻炎を起こす原因にもなり、危険です。『シングレア』などの「抗ロイコトリエン薬」も市販されていないため、鼻づまりが酷い場合には、一度病院を受診することをお勧めします。

※抗ヒスタミン薬(よく使われる第二世代)
『アレグラ(一般名:フェキソフェナジン)』
『アレジオン(一般名:エピナスチン)』
『ジルテック(一般名:セチリジン)』
『ザイザル(一般名:レボセチリジン)』

『エバステル(一般名:エバスチン)』
『クラリチン(一般名:ロラタジン)』
『アレロック(一般名:オロパタジン)』
『デザレックス(一般名:デスロラタジン)』
『ビラノア(一般名:ビラスチン)』

※抗ロイコトリエン薬
『シングレア(一般名:モンテルカスト)』
『キプレス(一般名:モンテルカスト)』

『オノン(一般名:プランルカスト)』

ポイントのまとめ

1. 『ザイザル』は「抗ヒスタミン薬」、くしゃみ・鼻水・痒みに効く
2. 『シングレア』は「抗ロイコトリエン薬」、鼻づまり・喘息に効く
3. 両方とも鼻炎に使うが、「くしゃみ・鼻漏型」か「鼻閉型」かによって使い分ける

添付文書、インタビューフォーム記載内容の比較

◆薬効分類
ザイザル:ヒスタミン受容体拮抗薬
シングレア:ロイコトリエン受容体拮抗薬

◆適応症
ザイザル:アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、痒疹、皮膚そう痒症
シングレア:アレルギー性鼻炎、気管支喘息

◆用法
ザイザル:1日1回、就寝前(成人)
シングレア:1日1回、就寝前(成人)

◆眠気による自動車運転などへの注意喚起
ザイザル:あり
シングレア:なし

◆剤型の種類
ザイザル:錠剤(5mg)、シロップ
シングレア:錠剤(5mg、10mg)、OD錠(10mg)、チュアブル錠(5mg)、細粒

◆製造販売元
ザイザル:グラクソ・スミスクライン
シングレア:MSD

+αの情報①:『シングレア』と『キプレス』は、同じ薬

 『シングレア』と『キプレス』は、製造販売元の会社が違うため商品名は異なりますが、同じ「モンテルカスト」の薬です。有効成分だけでなく、添加物や剤型も同じで、また適応症などにも違いはありません。

 そのため、効き目や副作用にも一切違いはありません。

 薬には、このように全く同じ薬でも名前だけが異なる、というものがいくつかあります。

例)商品名だけが違う、同じ薬
「アムロジピン(Ca拮抗薬)」:『アムロジン』と『ノルバスク』
「イルベサルタン(ARB)」:『イルベタン』と『アバプロ』
「ミルタザピン(NaSSA)」:『リフレックス』と『レメロン』
「アレンドロン酸(BP製剤)」:『ボナロン』と『フォサマック』
「シタグリプチン(DPP-4阻害薬)」:『ジャヌビア』と『グラクティブ』

+αの情報②:「アスピリン喘息」で、鼻づまりが起こる理由

 『ロキソニン(一般名:ロキソプロフェン)』などのNSAIDsに対する過敏症である「アスピリン喘息」では、重い喘息症状を起こすことがあります。
 この「アスピリン喘息」は、体内で「ロイコトリエン」が異常増加することが原因で起こります。そのため、喘息と一緒に「鼻づまり」を発症することが多いのが特徴です。

 

~注意事項~

◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

前のページ

次のページ

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

■主な活動

【書籍】
■羊土社
薬の比較と使い分け100(2017年)
OTC医薬品の比較と使い分け(2019年)
ドラッグストアで買えるあなたに合った薬の選び方を頼れる薬剤師が教えます(2022年)
■日経メディカル開発
薬剤師のための医療情報検索テクニック(2019年)
■金芳堂
医学論文の活かし方(2020年)

 

【執筆】
じほう「調剤と情報」「月刊薬事」
南山堂「薬局」、Medical Tribune
薬ゼミ、診断と治療社
ダイヤモンド・ドラッグストア
m3.com

 

【講演・シンポジウム等】
薬剤師会(兵庫県/大阪府/広島県/山口県)
大学(熊本大学/兵庫医科大学/同志社女子大学)
学会(日本医療薬学会/日本薬局学会/プライマリ・ケア連合学会/日本腎臓病薬物療法学会/日本医薬品情報学会/アプライド・セラピューティクス学会)

 

【監修・出演等】
異世界薬局(MFコミックス)
Yahoo!ニュース動画
フジテレビ / TBSラジオ
yomiDr./朝日新聞AERA/BuzzFeed/日経新聞/日経トレンディ/大元気/女性自身/女子SPA!ほか

 

 

利益相反(COI)
特定の製薬企業との利害関係、開示すべき利益相反関係にある製薬企業は一切ありません。

■ご意見・ご要望・仕事依頼などはこちらへ

■カテゴリ選択・サイト内検索

■おすすめ記事

  1. 『ビビアント』と『エビスタ』、同じ骨粗鬆症の薬の違いは?~S…
  2. 『パタノール』と『インタール』、同じアレルギー点眼液の違いは…
  3. 『ラシックス』と『フルイトラン』、同じ利尿薬の違いは?~ルー…
  4. 『プロペト』と『ヒルドイド』、同じ保湿剤の違いは?~副作用と…
  5. 『エレンタール』と『エンシュア』、同じ栄養剤の違いは?~タン…

■お勧め書籍・ブログ

recommended
recommended

■提携・協力先リンク

オンライン病気事典メドレー

banner2-r

250×63

PAGE TOP