『PL配合顆粒』と『SG配合顆粒』、同じ配合薬の違いは?~アセトアミノフェンを配合した総合感冒薬と鎮痛薬
記事の内容
回答:『PL配合顆粒』は総合感冒薬(かぜ薬)、『SG配合顆粒』は痛み止め
『PL配合顆粒』と『SG配合顆粒』は、どちらも「アセトアミノフェン」を中心に、4つの成分を配合した製剤です。
『PL配合顆粒』は、鼻水の症状に効く抗ヒスタミン薬なども配合した総合感冒薬(かぜ薬)です。
『SG配合顆粒』は、鎮痛や鎮痛補助を目的とした薬を配合した鎮痛薬(痛み止め)です。

似た名前の製剤ですが、配合されている薬は異なること、どちらも”眠くなる成分”が入っていることには注意が必要です。
回答の根拠①:総合感冒薬(かぜ薬)の『PL配合顆粒』~抗ヒスタミン薬を配合した薬
『PL配合顆粒』は、解熱鎮痛薬「アセトアミノフェン」の他に、抗ヒスタミン薬も配合した総合感冒薬(かぜ薬)です1)。そのため、風邪の症状を和らげる目的で使います。
※『PL配合顆粒』の成分とその目的
アセトアミノフェン:(解熱鎮痛薬)発熱や痛みを和らげる2,3)
サリチルアミド:(解熱鎮痛薬)発熱や痛みを和らげる2,3)
プロメタジン:(抗ヒスタミン薬)くしゃみ・鼻水の症状を和らげる4)
カフェイン:集中力や判断力の低下を軽減する5)
1) PL配合顆粒 インタビューフォーム
2) Clin Pharmacol Ther.44(6):704-11,(1988) PMID:3197368
3) Clin Ther.27(7):993-1003,(2005) PMID:16154478
4) Cochrane Database Syst Rev.(11):CD009345,(2015) PMID:26615034
5) J Psychopharmacol.11(4):319-24,(1997) PMID:9443519
『PL配合顆粒』の注意点~眠気や緑内障・前立腺肥大の症状悪化リスク
『PL配合顆粒』に配合されている抗ヒスタミン薬「プロメタジン」は、風邪の鼻症状にも効果のある古いタイプ(鎮静性)の薬4)です。そのため、眠気が強く現れるほか、抗コリン作用も持つため高齢者では緑内障や前立腺肥大の症状を悪化させる恐れ1)があり、注意が必要です。
また、そもそも『PL配合顆粒』は風邪の症状を和らげるための薬で、風邪の予防や根本的な治療ができる薬ではない、ということにも注意が必要です。
回答の根拠②:鎮痛薬の『SG配合顆粒』~ピリン系の薬や催眠鎮静薬を配合した薬
『SG配合顆粒』は、解熱鎮痛薬「アセトアミノフェン」を中心に、鎮痛やその補助を目的とした薬を配合した鎮痛薬(痛み止め)です6)。複数の薬を組み合わせることで、解熱鎮痛薬を単独で使うよりも高い効果を期待できる6)のが特徴です。
※SG配合顆粒の成分とその目的
アセトアミノフェン:(解熱鎮痛薬)発熱や痛みを和らげる
イソプロピルアンチピリン:(解熱鎮痛薬)発熱や痛みを和らげる
カフェイン:鎮痛効果を高める7)
アリルイソプロピルアセチル尿素:鎮痛効果を高める6)
6) SG配合顆粒 インタビューフォーム
7) J Headache Pain.18(1):107,(2017) PMID:29067618
『SG配合顆粒』の注意点~ピリン系の薬と催眠鎮静薬のリスク
『SG配合顆粒』に配合されている「イソプロピルアンチピリン」は、「ピリン系」に分類される薬のため、ピリンアレルギーの人は使うことができません6)。

※ピリン系=ピラゾロン基本骨格を有する解熱鎮痛薬の例
ピラゾロン誘導体:アンチピリン、アミノピリン、スルピリン、イソプロピルアンチピリン
ピラゾリジン誘導体:フェニルブタゾン、ケトフェニルブタゾン、フェプラゾン、スルフィンピラゾン
また、催眠鎮静薬の「アリルイソプロピルアセチル尿素」には眠くなる作用があるため、『SG配合顆粒』を服用後は自動車運転が禁止されています6)。他にも薬疹が出やすく8)、習慣性や依存性もあるほか、連用は慢性中毒の原因になる9)こともある成分のため、安易に使い続けないよう注意が必要です。
8) Yakugaku Zasshi.137(10):1301-1311,(2017) PMID:28966270
9) Can Med Assoc J.68(1):62-3,(1953) PMID:13019715
薬剤師としてのアドバイス:たくさんの薬を配合した製剤は、”便利”だがリスクも伴う
『PL配合顆粒』や『SG配合顆粒』のように複数の薬を配合した製剤は、これ1つで色々な症状に対応できたり、より高い効果を期待できたりと”便利”な製剤です。しかし、使う薬の数が増えればそれだけ負うべき副作用リスクも増えることになります。
市販(OTC医薬品)の総合感冒薬や鎮痛薬などでも、たくさんの薬をまとめて配合した”便利”な製剤は多いですが、自分にとって不要な薬まで含まれていないか、不必要なリスクまで負うことにならないか、特に”眠くなる成分”が入っていて良いのか(※仕事や学業への悪影響、自動車運転の制限)、といった確認は必ず行うことをお勧めします。
ポイントのまとめ
1. 『PL配合顆粒』は総合感冒薬(かぜ薬)、鎮静性の抗ヒスタミン薬が配合されている
2. 『SG配合顆粒』は鎮痛薬(痛み止め)、ピリン系の薬や催眠鎮静薬が配合されている
3. 多剤配合の薬は”便利”だが、不要な薬まで入っていないか確認が必要
薬のカタログスペックの比較
添付文書、インタビューフォーム、その他の資料の記載内容の比較
| PL配合顆粒 | SG配合顆粒 | |
| 薬効分類 | 総合感冒薬 | 鎮痛薬 |
| 有効成分(1回1.0g中) | アセトアミノフェン 150mg サリチルアミド 270mg 無水カフェイン 60mg プロメタジンメチレンジサリチル酸 13.5mg | アセトアミノフェン 250mg イソプロピルアンチピリン 150mg 無水カフェイン 50mg アリルイソプロピルアセチル尿素 60mg |
| 名前の由来 | 一般用医薬品の総合かぜ薬パイロン(pylon) | 鎮痛薬(Sedative)と顆粒(Granules) |
| 用法 | 1日4回 | 1日3~4回、もしくは頓服 |
| 主な適応症 | 感冒、上気道炎に伴う症状 | 感冒の解熱、耳痛、咽頭痛、月経痛、頭痛、歯痛、症候性神経痛、外傷痛 |
| 服用後の自動車運転 | 禁止 (抗ヒスタミン薬=プロメタジンによる眠気) | 禁止 (催眠鎮静薬=アリルイソプロピルアセチル尿素による眠気) |
| ピリンアレルギーに対する使用 | (制限なし) | 禁忌 |
| 製造販売元 | 塩野義製薬 | 塩野義製薬 |
| 同成分のOTC医薬品 | 『パイロンPL配合顆粒』 | 『セデス・ハイ』、『セデス・ハイG』 |
+αの情報①:同じ成分のOTC医薬品『パイロンPL顆粒』と『セデス・ハイ』
『PL配合顆粒』と『SG配合顆粒』は、どちらも同じ成分の薬がドラッグストア等でも購入できる一OTC医薬品として販売されています。
『PL配合顆粒』は、1日量が少なめに設定されている『パイロンPL顆粒』と『パイロンPL錠』、医療用と同量を配合した『パイロンPL顆粒Pro』、さらに鎮咳薬「デキストロメトルファン」と去痰薬「ブロムヘキシン」を追加した『パイロンPL配合錠ゴールド』があります。
『SG配合顆粒』は、医療用と同量を配合した錠剤の『セデス・ハイ』と顆粒剤の『セデス・ハイG』があります。
+αの情報②:「カフェイン」の摂り過ぎに注意
『PL配合顆粒』や『SG配合顆粒』には「カフェイン」が含まれています。「カフェイン」は薬として有用な面もありますが、不眠や睡眠の質低下の原因にもなります10)。薬に含まれる「カフェイン」が療養を邪魔しないように注意する必要があります。
また、「カフェイン」は摂り過ぎると心臓に負担をかけるようになります11)。日本では明確な基準は設けられていませんが、「カフェイン」は薬の他にも色々な飲食物にも含まれているため、気づかない間に過量摂取にならないよう気を付けてください。
※「カフェイン」の上限量
フィンランド食品安全局(EVIRA):成人で1日125mgを越えないことが望ましい
オーストラリア・ニュージランド食品基準機関(FSANZ):成人で1日210mg程度
カナダ保健省:健康な成人であれば1日400mgまで
10) Sleep Med Rev.69:101764,(2023) PMID:36870101
11) Intern Med.57(15):2141-2146,(2018) PMID:29526946
~注意事項~
◆用法用量はかかりつけの主治医・薬剤師の指示を必ずお守りください。
◆ここに記載されていることは「原則」であり、治療には各々の環境や状況により「例外」が存在します。











【修正】
アリルイソプロアセチルの分類が「解熱鎮痛薬」になっていましたが、
正確には痛覚を鈍感にさせることで痛みを和らげる「催眠・鎮静薬」だったため修正しました。
通常の鎮痛薬には安定剤の成分は入っていません。セデス類やSG顆粒にも含まれていません。
ただ、痛みが和らぐことによって気持ちが落ち着く、といった副産物的な効果は人によっては期待できるかもしれません。
また、カフェインが含まれている場合、カフェインによる覚醒効果によって、ハイになると感じる可能性はあります。
セデスハイを飲むと痛みは和らいでくれます。オマケにテンションまでハイになります。自分は歯痛で飲んでいます。普通のセデスではあまり効かずに病院でSG顆粒を処方してもらいました。飲んで10年以上はお世話になっています。気持ちまでが楽になるとは安定剤と同じようなもんです。鎮痛剤の中にも安定剤の成分が入っていると聞いたことがありますが、本当なんですね